アシュナスは
井戸でも一禮をし、
水を汲み、複数の
水甕(みずがめ)へと移した。

これらの水甕にもやはり、
内側に律氷たるシアレイシェムが
張り巡らされており
水の保存に適した造りになっている。

井戸水には何の伝説もない。
水山で汲めることは
不可思議ではあるが、
天地自然の流れの中で生じた
変哲も無い水とされている。

故に、人々の喉を潤し
最も生活に欠かせない水であった。

アシュナスは井戸水を汲み終えると
一禮し、石舟に乗り、
水山を出た後
石舟を一度止め、
向き直って一禮した後に
エニファル村へと帰還した。

刻はまだ一日のはじめ、
早朝であった。